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Filed Under (その他) by papy on 25-04-2007

対人関係がうまく築けず、読み書き計算に問題を抱える発達障害者への支援に、大学が取り組み始めた。大学生活につまづく学生の中に、こうした発達障害の特性を持つ学生がいることがわかってきたからだ。発達障害の学生が3%近くいる英国での支援も報告する。

 履修計画がつくれない、卒論で自分の考えを書けない、他の学生と一緒に実験ができない。こうした学生の困り事を支援するため、富山大は昨年度、「トータルコミュニケーション支援室」をつくった。

 学生から相談を受けながら、富山大学保健管理センター長の斎藤清二教授(心療内科学)は「困り事には、発達障害の特性に起因しているものもあるのではないか」と考えていた。学生の行動に戸惑う教員からの相談も増えていた。

 4年生の女子学生(21)は、1月から支援室を利用し始めた。3歳で自閉症とされ、小学生の時に高機能自閉症と分かった。障害の特性で、先を見通すのが苦手だ。

 「入学してすぐに大学生活に戸惑った」。高校までは時間割りや教室が決まっていた。大学ではたくさんあるメニューから履修計画を自分で考え、教室も授業のたびに移動しなくてはならない。履修計画は、教員や母親(50)に手伝ってもらってつくったが、母親は「急に自主性を求められることになり、混乱しないかと心配でした」。

 大学が把握している発達障害の学生は約20人。支援室のスタッフはこうした学生の困り事を聞き、スケジュール管理やリポートの書き方指導など、個別に支援計画をたてる。

 アドバイスや支援には、24時間いつでもネットで相談できる「ソーシャル・ネットワーキング・システム」も利用する。支援室は、女子学生のために趣味のマンガのコミュニティーを立ち上げた。書き込みを通じて人間関係を広げる試みだ。

 日本学生支援機構の07年度調査では、大学で学ぶ障害者は大学院や通信制を含め0.16%。発達障害者はそのうちの約3%だが、76校に在学しており、関心は高まっている。機構は「診断書のある学生を調査したが、診断を受けていない人を含めると、実際は、どの学校にもかなりの学生がいる」とみている。

 機構が事務局となり、2年前に大学の障害支援担当者向け「障害学生修学支援ネットワーク」ができた。大学での配慮も盛り込んだ発達障害者支援法を機に、視聴覚や身体障害に加え、発達障害も支援対象とした。富山大のほか、宮城教育大や筑波大、関西学院大、福岡教育大で相談に対応している。今年度、従来の支援メニューを充実させ、具体的な支援法などをまとめた冊子を各大学に配る予定だ。

 冊子の作成にかかわった信州大学教育学部の高橋知音・准教授は、障害学生への対応マニュアルの作成や支援員養成、個人に応じた環境を整えることなどを盛り込む。「発達障害の学生が学びやすいよう環境を整えると、ほかの学生にも親切で分かりやすくなる」と話す。

    ◇

 ただ、日本の場合、発達障害の支援の対象は、対人関係や行動に問題を抱えるアスペルガー症候群や注意欠陥・多動性障害が中心だ。読み書き計算などに困難を抱える学習障害への支援はまだ少ない。

 学習障害の対応が進んでいるのが英国だ。人口の10%が学習障害とされ、読み書きが困難な大学生は珍しくない。

 「試験問題は声に出して3回読まないと分からないんです」

 ロンドン中心部にある「セントラル・ロンドン・アセスメント・センター」は、大学など高等教育を受ける障害者を支援する施設。面談している女性は大学修士課程の学生で将来、会計士を目指す。最近、診断を受け、学習障害と分かった。

 読んで理解するのが遅い、スペルを間違う、左右が分からなくなる。子どものころからの困り事をスタッフが聞き取っていく。途中で女性に課題を与え、できることとできないことを探る。その結果、文字が固まって見え、数字の見落としやつづりの混乱があることが分かった。女性にはパソコンと読み上げソフトなどが支給された。大学へは、試験時間延長や声を出して文章を読み上げるなど、必要な配慮が報告された。

 06年度の英国高等教育統計局のデータでは、大学1年で障害を申告した学生は4万7490人で全体の6.8%。うち、学習障害など発達障害の学生は44%いる。法律で教育分野での差別は禁じられており、勉強に支障があると証明されれば、代わりにノートをとる支援員らの費用や機器の購入費が国から支給される。

 英国で学習障害支援に携わる館野智恵子さん(58)の長男(29)は学習障害だが、ケンブリッジ大を卒業した。15歳で診断されて以後、試験は時間延長してもらい、答えの記入欄を間違えても得点になった。

 一方で「一時帰国した日本の学校ではつらい目にあった」と振り返る。長男が小2の時、特殊学級に移るように担任からやんわり告げられた。原因は九九が言えなかったこと。かけ算はできているが、「8」が「はち」「ぱ」「は」と読み方が変わるのについていけなかった。いじめもあり、一家で英国に戻ることを決めた。「英国では診断がない時も、計算はできるので、『いずれできるようになる』と考えていた。自信を失わせない配慮も大切」という。

 障害者の大学進学の支援をしている東大先端科学技術研究センターの中邑賢龍教授は「入り口の問題が大きい」と指摘。日本の大学入試センターは、ワープロ利用や時間延長を認めておらず、「ワープロで文章が書け、聞けば文章も理解できるのに、支援がないことで学問の機会が失われるのはおかしい」と話した。

引用:朝日新聞 http://www.asahi.com/edu/news/TKY200904200085.html



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