偏見からトラブルも 相談体制の強化必要

 二〇〇五年四月に発達障害者支援法が施行されて四年。県内では「県発達障害支援センター」(金沢市鞍月)と、県から委託を受けた社会福祉士らが運営する「発達障害者支援センター・パース」(同市福久東)が活動しているが、社会の理解はまだ乏しい。発達障害を抱える人たちを社会でどう支えるのか、現状と課題を探った。(増田育子)

 「オッス」。小松市内の空手教室。ひときわ大きな掛け声を響かせるのは、発達障害の一つ、アスペルガー症候群がある小学三年生の男の子(8つ)だ。ストレスをためないよう体を思いきり動かしてほしい、道場の鏡を見て自分を振り返る時間を持ってほしいという親の願いで通い始めた。

 教室の講師林まさのりさん(45)=加賀市松が丘=は多くの発達障害の子どもを見てきた。「特別な目で見たことはない。ただ少し、その子に合う声掛けをして、勇気を持たせるだけ」と話す。

 小学校では特別支援学級に通う。漢字は読めるが、書けない。じっとしていることが苦手で、教室を歩いたり、薬の影響で眠ってしまったりする。味覚のこだわりが強く、魚や豆類は食べられない。

 生活していく中での制約が多く、友人とのトラブルも日常的にある。母親(36)は「支援センターに通っても病気が治るわけではない。社会の理解が必要」と訴える。

 両支援センターへの相談は急増している。県発達障害支援センターの二〇〇八年度の相談件数は延べ四千九十八件で、開設した〇五年度と比べて約十倍。パースは同じく延べ三千五百二十四件で、本格的に運営を始めた〇六年度の五倍超だ。学校や就労現場でのトラブル、薬物治療への不安など、相談内容は多岐にわたる。

 現状では、報道や出版物などで発達障害という言葉が先行している。不安に陥る人が多いのに症状は正しく理解されておらず、偏見から生まれるトラブルが少なくない。県発達障害支援センターの酒井伸吾課長は「発達障害の人たちは甘えているわけではなく、大変な思いを抱えている。社会全体で理解を深める時期が来ている」と強調する。

 発達障害の子を持つ親たちにとっては、待ったなしの状況。各市町ごとに親の会が設立され、発達障害に関して情報交換できるコミュニティー型のウェブサイトも多く生まれている。パースのサイトにも、県内の四百人が加入している。

 パースの中島章雄センター長(60)は「支援センターだけでは相談に追いつけない。各自治体の相談体制を強化し、社会が障害を正しく知ることが必要だ」と話している。

 ◇発達障害◇ 言葉の発達の遅れや対人関係の障害などがある「自閉症」、興味関心のこだわりが強い「アスペルガー症候群」、読み書きや計算が極度に苦手な「学習障害(LD)」、じっとしていられず衝動的に行動しがちな「注意欠陥多動性障害(ADHD)」などをいう。

 症状には個人差があり、一見しただけでは障害が分からず、周囲とトラブルが起きることもある。原因は脳機能の障害と考えられ、就学前の早期発見で療育を受ける環境を整える必要がある。

 発達障害者支援法により、年齢に合った生涯にわたる支援と関係機関との調整を目的に、各都道府県に「支援センター」が立ち上がった。

引用:中日新聞 http://www.chunichi.co.jp/article/ishikawa/toku/genba/CK2009062702000155.html



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