県立高校の図書館が、生徒の飲食を認めたり、畳敷きのスペースを設けたりといった工夫を凝らし、ストレスを解放する場所としての役割を強めている。発達障害の生徒が教室を離れて落ち着く場にもなっており、図書館司書が生徒にかかわる場面も増えている。一方、県、県教委は人件費削減の一環で新規採用の司書を非正規職員に切り替える方針のため、生徒と向き合うことが難しくなるのではないかと心配する司書もいる。
今月初め、小諸商業高校(小諸市)図書館の昼休み。弁当を持った約20人が集まり、閲覧用の机やソファで食事を楽しんでいた。3年男子の6人グループは「和むから」。雑誌を見ながら食べていた3年生の女子2人も「ゆったりできる」と話した。
同校によると、図書館での飲食解禁は10年以上前。県内ではまだ少ないというが、司書の蓬田美智子さん(48)は「図書館を身近に感じてもらうきっかけにしてほしい」とする一方、「ほっとする場所になれば」とも話す。
梓川高校(東筑摩郡波田町)の図書館で好評なのは、数年前に設けた畳敷きの一角。床に座り込む生徒がいたために講じた策で、2畳ほどの広さだが「くつろげる」と休み時間に横になっていく。坂城高校(埴科郡坂城町)では6人用の机以外に書棚の陰に、一人掛けのいすを計6個置き、1人になりたい生徒の居場所を設けている。
司書たちの工夫の背景には、図書の貸し出しといった本来の業務にとどまらず、図書館が「第二の保健室」(ある県立高校教諭)とされる役割を果たしていることがある。蓬田さんのもとには友人関係や恋愛の相談にやって来る生徒も。「私たちは成績をつけないから生徒は気が楽かもしれない。生徒にとって相談や居場所の選択肢が一つ増えることが大事」と説明する。
さらに県立高校では近年、発達障害の生徒が増加傾向。学力的には問題なくても人とかかわることが苦手な生徒もおり、そうした生徒たちが「誰にも話し掛けられず、落ち着ける」と利用するケースも増えているという。「保健室だと何か理由がないと行けない」と感じる生徒にとって訪れやすい面もあるようだ。
こうした状況を受け、南信のある高校の司書は、発達障害の生徒の支援を話し合う放課後の会議に担任や教科担任とともに参加。情報交換を重ね、学校全体で生徒を支える一端を担っている。
県教委などが予定する新規採用の司書の非正規雇用が始まると、3~5年程度で契約を更新する必要があり、残業は認められなくなる。このため、この司書は「放課後の会議に出なくていい、といったことになれば、司書も一緒になって生徒を支えることは難しくなるのではないか」と話している。
引用:信濃毎日新聞 http://www.shinmai.co.jp/news/20090717/KT090716FTI090015000022.htm