自閉症を描いた映画が相次いで公開されている。家族らの思いが詰まった作品だけでなく、一般の恋愛映画にも自然な形で登場するようになった。銀幕での「活躍」は、社会の理解にどう役立っているのか。(梅崎正直)
自らの進路に迷いを感じている看護学生、明日美の前に現れた1人の青年。車のフロントガラス越しに彼女を見つめる青年に、突然の雨が降り注ぐ。「ぬれるよ……」。青年を助手席に乗せて海へ向かうが、言葉のやりとりが成り立たない。青年は自閉症だった――。
公開中の映画「ぼくはうみがみたくなりました」の一場面だ。主人公の明日美(大塚ちひろ)が、初めて接する自閉症者に驚き戸惑いながら、出会いを通じて人生への希望を取り戻していくストーリーだ。
自閉症は先天的な脳機能の障害で、言葉やコミュニケーションに問題を抱えやすい。作者の脚本家、山下久仁明さん(48)は自閉症児の父親だった。息子の
小説として出版したのが2002年。映画化のためにカンパを呼びかける矢先の06年3月、大輝さんを鉄道事故で失った。15歳だった。「こうだったらいいな、という家族の思いが詰まっている映画です。まずは自閉症者の家族に、そしてより多くの人たちに見てほしい」と話す。
今年になって、自閉症をテーマとした映画の公開、制作が相次いでいる。映画「星の国から孫ふたり」は、自閉症の2人の孫を持つ作家、門野晴子さんの実体験をもとに作られた。
海外では「レインマン」や韓国映画の「マラソン」などが知られるが、国内でもここ10年ほどの間に、映画やテレビドラマ、コミックなどで自閉症が取り上げられている。その背景には、「閉じこもりがちな性格」という初歩的な誤解を解消したい当事者らの思いがあった。最近は、自閉症の人がかかわる事件もあり、偏見のない自閉症像を正確に伝える必要が強まってきた実情もある。
「映画などを通じ、自閉症に対するイメージが一般の人に伝わった」と評価するのは日本自閉症協会の石井哲夫会長。しかし、「自閉症の人が持つ特別な能力が注目されることも多いが、根本にある彼らの『生きにくさ』、社会にうまく入れない苦しさをしっかり伝える作品であってほしい」と注文も忘れない。
自閉症の人が登場するのは、家族など当事者がかかわった映画に限らない。この春に公開された恋愛映画「
◆「ぼくはうみがみたくなりました」〈東京都写真美術館ホールで公開中。コクーン03・5468・5705〉
◆「星の国から孫ふたり」〈19日から「シネマスコーレ」(名古屋市)、11月21日から「下高井戸シネマ」(世田谷区)で上映。パオ03・3327・3150〉
◆「恋極星」(配給・日活)10月21日、DVD初回限定版(2枚組み8190円)発売
引用:読売新聞 http://www.yomiuri.co.jp/iryou/kyousei/security/20090901-OYT8T00660.htm