誘致めざし市が検討委
広島県福山市は、自閉症や注意欠陥・多動性障害(ADHD)など「発達障害」のある子どもを専門的に診療し、保護者らを支援する県立の「療育センター」(仮称)の市内設置を目指し、検討を進めている。市は昨年6月、専門家らによる検討会を設置して協議を進めており、3月末までにセンターの基本構想をまとめ、2010年度に県に整備を働きかける方針。
福山市教委によると、09年度に発達障害の子どもらを対象にした市立小中学校の特別支援学級に通う児童、生徒数は、小学校440人(02年度242人)、中学校152人(同92人)で、年々増え続けている。05年の発達障害者支援法の施行など社会的関心の高まりが背景にあるとみられる。
県内には、発達障害がある子どもの診療や相談業務に当たる公立の機関として「広島市こども療育センター」(広島市東区)と、「県発達障害者支援センター」(東広島市八本松町)の2施設があるが、県東部に同様の施設はなく、発達障害児の保護者らから「身近に専門的な施設がほしい」との要望が出されていた。
このため、福山市は08年5月、尾道、三原、府中市と神石高原町の4市1町の連名で、県東部への療育センター設置を求める要望書を県に提出。センターの具体的な機能や体制を話し合う検討会(会長=村尾正治・福山市保健所長職務代理者)を、医療関係者や教育関係者など20人で作り、4回の会合を重ねてきた。
福山市は昨年11~12月、療育施設などに通う0~18歳の子どもがいる4市1町の計2120世帯中、495世帯を対象にアンケートを実施(回収率49・1%)。センターに必要な機能として、「医師による診断・診療」、「相談」、「各療育施設や機関等をつなぐコーディネート」を求めていることが分かった。このため、市はこうした内容を柱に基本構想を作ることを検討会に提案している。
これに対し、県障害者支援課は「厳しい財政状況の下で、どういう運営体制が良いのか検討しなければならない」として、センターの設置費用や運営コストの負担には慎重な姿勢をみせている。
検討会の委員で、市立緑丘小で特別支援学級を担当する岡崎和子教諭(57)は「保護者らは、児童の診療のために岡山県など遠方の専門機関まで足を運んでおり、負担が大きい。気軽に相談出来る身近な公的機関を望んでいる人は多く、実現してほしい」と期待している。
発達障害
文部科学省によると、対人関係が築きにくく変化に対応することなどが苦手な「広汎性発達障害」(自閉症、アスペルガー症候群)や、落ち着きのなさなどが特徴の「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」、聞く、話す、書く、計算するなど特定の事が困難な「学習障害(LD)」など、脳機能の障害が原因で乳幼児期から症状が現れるものを指す。2005年の発達障害者支援法施行で、情報提供などを行う発達障害者支援センターの開設が都道府県などに実質的に義務付けられた。
(引用 読売新聞 http://osaka.yomiuri.co.jp/mama/medical/mm20100113kk01.htm)