◆東京新聞賞 武蔵野東学園
「子どもに最適なお手本は、子ども」。教育が困難な自閉症児であれ、健常児であれ、可能な限り触れ合わせる「混合教育」が学園の最大の特色だ。
たとえば日々の手洗い。健常児を間近にみるうちに、自閉症児も手の動きを体得していく。清掃の時間は、上級生の健常児が下級生や自閉症児をリードする。互いに支え合うことで、自閉症児の発達はもちろん、健常児の心くばりも細やかに。集団活動を通して、両者がともに成長する姿が、そこにある。
混合教育は四十六年前、学園の発祥となる幼稚園から始まった。志望者の中にいた自閉症児を受け入れ、同じ環境で育てた。その成果が評価され、今では幼・小・中・高等専修を設立。昨年度までに高等専修学校を卒業した自閉症児は六百三十九人で、うち半数が一般就労を果たした。
自閉症児の症状や性格に誰ひとり同じ子はなく、前例は必ずしも通じない。教師らは日々、目を皿のようにして子どもたちを見つめる。子らの特性に応じたきめ細かい指導が評判となり、米国からも入学希望者が集まる。
今、さらなる発展を見据えた構想がある。自閉症児の自立と就労問題の先にある、保護者の高齢化問題。これらの問題を解決するのが農業と介護をセットにした就労モデルだ。
自閉症児は地道な単純作業が得意。これまでも、老人ホームでの彼らの働きが重宝されてきた。ならば畑のそばに宿舎を造り、すぐ横に老人ホームを建てれば、自閉症児も親も安心して暮らせるのでは-。学園の未来への挑戦が始まっている。
◆寺田欣司理事長
障害に理解と関心を持ってもらえて大変うれしい。学園では自閉症児だけでなく、健常児も彼らの手を取り、教えることで優しい気持ちが芽生えている。自分の時間を他人のために使える子が多いのが、学園の誇りです。
引用:東京新聞 http://www.tokyo-np.co.jp/article/economics/news/CK2010031402000182.html