「学びづらさを軽減」
臨床心理士や教師を目指す大阪府内の大学生らが、発達障害を抱える子や不登校児らに、家庭教師として学習支援する事業を進めている。発達障害の子には学校での特別支援教育が2007年に始まったが、校外ではこうした取り組みはほとんどないのが現状。心理学や教育の専門家の〈卵〉らは「子どもたちの可能性を伸ばす手助けになれば」と願う。
村中さん(左端)が見守る中、発達障害を抱える児童に漢字の練習方法などを手ほどきする大学生臨床心理士の村中直人さん(33)(大阪市東淀川区)が、学生らと始めた家庭教師派遣事業「あしたね先生」。心理学や教育、福祉を学ぶ大学・大学院生計40人が登録。現在、大阪、京都両府の小学4年~高校2年の10人を教えている。
「ここ、違う」「なんで。絶対、合ってるよ」。臨床心理士を目指す大阪市立大4年、大久保翼さん(22)は、担当するアスペルガー症候群の小学5年の男児(11)に計算間違いの指摘を繰り返す。
男児はこだわりが強く、自分の解答が正しいと思い込み、ケアレスミスが多い。けれど、大久保さんはそのこだわりを逆にいかせるようにと、「問題は2回読んで式を書く」「必ず検算する」などと解答の手順をルール化。徹底したところ、ミスが大幅に減った。「どこで壁にぶつかるか、理解して指導すれば、学びづらさは軽減できる」と大久保さんは話す。行動面でも、会話に耳を傾け、キャッチボールに付き合ううちに落ち着きが出て、同級生とのケンカなどのトラブルも減少したという。
村中さんが、学生らを派遣する一般社団法人「子ども・青少年育成支援協会あしたね」(同市西区)を設立したのは昨年8月。大阪市教育センターの相談員だった3年前、発達障害などで勉強につまずく子が多い一方、「専門知識を持つ塾や家庭教師がほとんどなく、ニーズがある」と考えた。
アスペルガー症候群の小学4年男児(10)は、集団の塾に通っていたが、落ち着きがないことを「サボる」と非難されてやめ、2月からあしたね先生の派遣を受けている。母親(43)は「学歴がすべてではないが、授業についていけないと将来の選択肢が狭まるのではと心配。今は障害をわかってもらえる安心感がある」と喜んでいる。
発達障害に詳しい鳥居深雪・植草学園大学准教授(発達教育学)の話「支援の選択肢が増えるのは良いこと。学校や保護者とも連携し、社会で生きる力をつけさせる体制づくりが大切」
引用:http://osaka.yomiuri.co.jp/edu_news/20100326kk01.htm