相談件数予想以上 施設少なく“駆け込み寺”に
小松市は四月から、市独自で「こども教育相談・発達支援センター」(小馬出町)を設置した。県内には、県の支援センターと県から委託を受けた支援センターがあるが、市町単位での設置は初めて。約三カ月がたち、市の支援センターの役割の重要性がはっきりした一方で、専門的知識を持つ職員の不足や、県内の支援施設の少なさなど課題は山積みだ。

市発達支援センターの作田一巳所長は、電話対応に追われていた。「専門性を持った職員が多くいるのかと言われると、『いない』が実情です」。苦しい胸の内を吐露した。

今まで発達障害の子どもとその保護者らは、相談をするために県発達障害支援センター(金沢市鞍月)か発達障害者支援センター・パース(同市福久東)に通っていた。どちらも県が母体であるため小回りが利きにくい。「地域の事情が分かる身近な支援センターを」との切実な声を受けて設置されたのが小松市の支援センターだ。

職員は作田所長、専門相談員一人、市教育センターからの二人、保育士一人、事務職員二人の計七人。相談を受けると、作田所長らが各課に連絡して連携体制をつくる。教育と福祉の両面のサポートが欠かせない子どもらにとって、行政の縦割り構造の弊害を少なくする意義は大きい。

しかし、発達障害の相談内容が「大きな音が苦手」「集団行動が恐怖」「信号機にこだわりがある」などと多種多様な中で、専門的知識を持って的確なアドバイスができるのは、現状では専門相談員の男性だけだ。

それでも、四~五月の相談件数は、当初予想していたより倍近い百十二件と多い。この件数のほかに、市外の保護者からの問い合わせも増えている。

相談員は「門前払いはできない」と、市内の保護者と同じように相談を聞き、必要があるときは担当市町につなぐ。こうした“駆け込み寺”の実情について作田所長は「根本には(県内の)支援センターの少なさがある」と指摘する。

発達障害支援の先進県といわれる滋賀県では、十九市町のうち十三市町が支援施設を持つ。各市町が連携し、個人に合った強固な支援体制をつくる。石川県の遅れは歴然だ。

小松市の支援センターは今後、保育士らを対象に継続的な事例検討会をしたり、子どもの特徴やこれまでの支援内容などを書き込んだ「発達サポート手帳(仮称)」の作成に乗り出す。

和田慎司市長はセンターの専門性不足については「ただ単に職員を増やしていくのではなく、職員から公募を募ったり、研修の場を設けたりしてステップアップさせたい」と話す。発達障害者支援法施行から五年。県内市町の支援体制の強化が急がれる。

市町の役割大きい
滋賀県健康福祉部障害者自立支援課の田中圭主任主事の話 早期発見や早期治療で支援していくためには、乳幼児健診時に発達障害と分かることもあり、市町の役割は大きい。県だけでは、就労につなげる障害者のトータル的なケアも難しい。滋賀県は二〇一三年までに、三十五人ほどの専門支援員を養成する計画。生涯支援体制の充実を図るため、グループホームなどでの自立生活支援も進めている。滋賀県も試行錯誤の毎日だ。

◇後記◇
発達障害の人が“社会の歩調”と合わず、人間関係で悩み、不登校やいじめなど二次被害が起きることは少なくない。一人一人が幸せを目指して生きられるか、行政手腕と社会の理解が欠かせない。小松市の支援センターは、法律名を除き、障害の「がい」の字を平仮名で書いた書類作りを徹底している。「社会にとって害ではありませんから」。職員の思いが資料にもにじむ。

引用:中日新聞 http://www.chunichi.co.jp/article/ishikawa/toku/genba/CK2010062002000156.html



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