発達障害児の保護者らが、手弁当で運営してきた佐賀市のコミュニティーカフェ「Ponte(ポンテ)」が19日、閉店する。子育ての悩みを抱える親同士が交流し、集う場として2年余り市民らに親しまれてきた。スタッフの仕事と家庭の両立の難しさなどから営業の継続を断念したが、今後も別の拠点を探して支援活動を続ける予定だ。(甲斐弘史)
イタリア語で「橋」を意味するポンテを運営するのは、県内で発達障害のある人や子どもを支援する「元気塾」親の会。2008年8月、佐賀市駅前中央1丁目のアイスクエアビル1階に事務局兼店舗としてオープンした。会員3人が中心となって交代で勤務し、運営はほぼボランティア。発達障害児を持つ親同士がお茶を飲みながら、不安や悩みを打ち明ける情報共有の場として評判を呼び、赤字経営になったことは一度もなかったという。
ポンテ店長の田代好子さん(41)は、アスペルガー症候群の子どもを持つ3児の母。コミュニケーションが苦手な子どもとの接し方に悩んだ経験があるという。「自分一人だと悩みを抱え込んでしまう。でも、カフェでお互いの経験を打ち明けて、共感してもらえることで、物事を楽に考えられるようになった」
カフェで受けた相談で多いのが、子どもの進路。発達障害のある小学生を持つ母親が、公立学校と養護学校のどちらに進ませるべきか悩み、相談に訪れたことがあるという。同店スタッフの松瀬さおりさん(47)は「学校に相談できず、悩みをため込んでしまう親も多い。ポンテには養護学校に子どもを通わせる親もいるので、アドバイスができる」と話す。
順調な経営の一方で、家事との両立に加えて別の仕事を持つスタッフも増えた。家庭との両立や店を経営する忙しさで、来店する親や子どもたちと話す本来の目的が果たせなくなっていった。数カ月前からスタッフらで話し合い、カフェの運営を断念することを決めたという。
最近は、閉店を惜しむメールや電話が絶えない。カフェの経営からは離れるが、田代さんは「店は無くなっても、悩みを抱える親や子どもが情報を共有できる場がなくならないようにしたい」。
引用:朝日新聞 http://mytown.asahi.com/saga/news.php?k_id=42000001011190002